ひとつの季節がドアを開けて去り、もうひとつの季節がもうひとつのドアからやってくる。人は慌ててドアを開け、おい、ちょっと待ってくれ,ひとつだけいい忘れたことがあるんだ,と叫ぶ。でもそこにはもう誰もいない。ドアを閉める。部屋の中にはもう既にもうひとつの季節が椅子に腰を下ろし,マッチを擦って煙草に火を点けている。もし言い忘れたことがあるのなら、と彼は言う,俺が聞いといてやろう,上手くいけば伝えられるかもしれない。いやいいんだ、と人は言う、たいしたことじゃないんだ。風の音だけがあたりを被う。たいしたことじゃない。ひとつの季節が死んだだけだ。---------村上春樹「1973年のピンボール」より

友人から村上春樹の本をごっそりと借りている。(20歳頃に読んだのにすっかり内容を忘れている自分!)
いつものこの季節の変わり目には「夏よ、もうちょっと待って!」ととっても寂しくなるのだけれど、8月に一度,「待って!」と言ったら夏はかなり待ってくれてしまったので(今年の残暑は札幌では本当に記録的なもの)もうちょっと待ってとは言いづらい。それでも今朝は起きると肘が冷えていたのを感じて、 これから冬に少しずつ向かっていくのだと思うと気持ちを入れ替えなければと思う。1週間ほど前からくつしたの重ね履き&半身浴を再開。じんわりと体がよろこんでいるのがわかります。自分を大切にしてあげようと思う。